大塚康生の動かす喜び [DVD]詳細
#98
ジブリがいっぱいCOLLECTIONスペシャル
『大塚康生の動かす喜び』
高畑・宮崎両監督が「アニメ、動画の面白さを教わった」先輩でもあるアニメーター大塚康生の「動き」の秘密に迫ります。「ルパン三世カリオストロの城」で高い塔の間を飛び越えるルパン。「じゃりン子チエ」に登場するケンカ好きだが憎めない男、テツの軽快なアクション。現実にはあり得ない、けれど心のどこかで「彼ららしい」と感じさせるようなリアルな「動き」。多くのアニメファンを熱狂させた高畑・宮崎両監督のこれらの作品において作画監督を務めたのが大塚康生です。彼の携わった多くの作品を顧みることは、戦後急速に発達した日本アニメーション界の歴史を振り返ることにも繋がります。現代のアニメファンにとってアニメの歴史を知るバイブルともなり、一流のドキュメンタリーとしても見ごたえのある作品です。
<映像特典>
●五ェ門抜刀の作画 ノーカット版
大塚康生の動かす喜び [DVD]口コミ
The studio Ghibli documentary to buy.
あえて、頭をカラッポにして見てみました。
ぐいぐい画面に引き寄せる大塚さん。プロだ。本物のプロだ。
こんな人、未だかつてみたことが無かった。
もうすぐ50歳に差し掛かる自分ですが見習いたいです。仕事でも、趣味でも。
人生が楽しくなりますから。
大塚さんの人柄が良いことが十分に伝わってくる映像記録です。
アニメーターの学校やジブリで講義をする大塚さんの、後続の人たちへの優しい姿勢が印象的でした。「原画を描く前にサムネイルでプランをたてましょう」という言葉に、それがよく表れていたように思います。ちょっとですが、テレコム6期生(1984年)の研修課題ビデオも見ることができます。(残念ながら誰がどれを描いたかまでの説明はありませんが。貞本さん以外は)そしてその後半に、貞本義行さんの課題が4つ(人物の歩きや走り)ちらっと見れるのですが、上手すぎです。貞本さんとの対談で、貞本さんが漫画という止め絵の世界に行ってしまったことを大変惜しんでおられた大塚さん。失礼ですがなんだか可愛かったです(笑)。映像特典は五エ門の抜刀シーンの作画風景。もちろん素晴らしかったのですが、残念なのはアングルが上半身正面からの固定だったこと。せっかく作画の様子をじっくり見られるのですから、できれば全身のアクションが見たかったとも思うのですが、それはさすがに贅沢言いすぎかもしれませんね。
内容
1. イントロダクション
2. 第一章 描いて動かす基本
3. 第二章 スケッチ少年時代
4. 第三章 東映動画時代
5. 第四章 テレビ・アニメ時代
6. 第五章 プロデューサー・指導者として
『大塚康生の動かす喜び 』は、高畑勲、宮崎駿両監督をはじめ、多くのアニメーターやアニメーター志望者に影響を与え、尊敬されてきた大塚康生さんのアニメーション人生に迫ったものです。
蒸気機関車と出合って衝撃を受け、無我夢中で機関車をスケッチした少年時代から、アニメーターとなったいきさつ、高畑監督や宮崎監督に関する話、『太陽の王子ホルスの大冒険』や『ルパン三世 カリオストロの城』などの作品について、また、指導者として専門学校やフランスのアニメーション・フォーラムで教える様子などが収められています。
どの章も面白く観ましたが、私はとくに大塚さんのアニメーション講義の場面を興味深く感じました。スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが「新人教育ということでは、宮さん(宮崎駿監督)、高畑さんの遥か上を行きます」と大塚さんを評すところがあるのですが、大塚さんの教え方は具体的でわかりやすく、そのうえユーモラスなので楽しんで学ぶことができます。そしてとりわけ素晴らしいことですが、大塚さんの指導はアニメーションに対する情熱と後進へのやさしさにあふれています。
構成・演出は「『もののけ姫』はこうして生まれた。」の浦谷年良さん。本編約107分。映像特典として『ルパン三世』の五ェ門抜刀の作画場面、約19分が収録されています
数々の名作を残している大塚さん。子供の頃から、絵を書くのが大好きでした。何に興味を持って絵を書いていたかというと、機関車の動く仕組みなんですね。ただ、正確に絵を描くのではなく、構造による機能を重視して絵を書いているんですね。その観察力がすごいし、ワクワクしている感覚が伝わってきます。「勉強することも才能」と言っている大塚さん。自分の人生と仕事を考える作品に仕上がっています。「経験量だけが人を育てる」そんなことを強く思ったDVDでした。