グレートサミッツ 8000m 全山登頂 ~登山家 竹内洋岳~詳細
#95
ヒマラヤの山々に登り続けてきた登山家、竹内洋岳。最後の山となったダウラギリ峰登頂への挑戦を追う。
ヒマラヤ8000m峰全14座の登頂に日本人として初めて成功した登山家・竹内洋岳。
雪崩での大けがや、高所での意識障害など、死の危険に何度も遭遇しながらも、不屈の精神で18年間をかけて記録に挑んできた。
番組では、ことし5月、最後に残されたダウラギリ登頂に挑んだ全行程に完全密着。
山や仲間にかける思いと、凛然(りんぜん)とそびえる名峰の美しさをあますところなく伝える。
【内容】
18年前、初めて8000m峰に登頂成功以来、今年、最後に残った世界第7位のダウラギリ峰(8167m)に挑み、悲願を達成した。
世界最高峰エベレスト(8848m)を始めとする8000m峰14座は、「神々の座」と呼ばれる。
全てを個人で登りきることは不可能とされていたが、1986年イタリアの超人ラインホルト・メスナーが世界で初めて達成。
現在までに世界15カ国、27人が全山制覇を成し遂げているが、日本からは達成者が出てこなかった。
これまでに挑んだ日本人登山家は、いずれも10座を前に遭難、夢破れてきたのだ。
「8000mの世界は、人間が存在してはいけない過酷な場所」と語る竹内洋岳。雪崩の危険、氷点下20度以下、酸素は平地の3分の1という条件の中、美しくも厳しい自然に挑んだ。
番組では14座最後の挑戦に密着。その軌跡を通して、ヒマラヤに魅せられてきた登山家の生き様、
そして挑戦し続ける思いを描く。
■特典映像 : 「14peaks!!」
竹内洋岳のパートナーであり、カメラマンでもある中島ケンロウが撮影・編集した未公開映像クロニクル。
■封入特典:リーフレット
☆竹内洋岳が2012年植村直己冒険賞を受賞!
☆「NHKスペシャル ヒマラヤ8000m峰 全山登頂に挑む」でも特集! (2012年12月9日 NHK総合で放送)
○2012年8月18日 NHK BSプレミアムにて放送
ドキュメンタリー/セル/本編89分/画面サイズ16:9LB/ステレオ・ドルビーデジタル/片面二層/カラー
グレートサミッツ 8000m 全山登頂 ~登山家 竹内洋岳~口コミ
自然を愛する者の目はとてもきれいな瞳をしています。なぜだか、彼の目は、イチロー選手の瞳にそっくりです。日本の誇りです。立正大学ももっともっと伝えるべきです。
2012年5月4日登頂のダウラギリ(8,167m)の記録がメインで14座全山登頂の映像記録ではない。
中島健郎さんを7000mで引き返させるところに竹内さんが14座完登できたことの一端を見た
全世界で29人目、日本人初の8000M超の全14峰を登頂した竹内洋岳氏は、今も唯一の日本人14峰サミッターだ。1995年のマカルーから18シーズン後、2012年5月26日に登頂したラスト14峰目のダウラギリ挑戦をNHK取材班が記録した90分スペシャル。
紺碧の空と白銀の峰の中を無酸素で登る竹内氏の登山家としての姿は、純粋なアスリートの顔だけでなく、志なかばで雪崩で行方不明になった先輩達への祷りと感謝、日本との天候予測の連携、高山病を発症したパートナー中島ケンロウ氏に第3キャンプ前に断念させるチームリスクマネジメント等を通じて、求道者の凄みと美しさを感じた。
最近では2018年にエベレストで栗城史多氏が遭難しており、昔から世間には「何故に命懸けで登山するのか」と言われ続けているのも理解できる。確かにスポーツの一種とすればその通りだが、プロの登山家は冒険家と共に人類史の開拓者であり、求道者なのだとも言えよう。
記録や順位ではなく、峰を踏むことこそが目標であり、生命のリスクを覚悟しながら、それを乗り越える“道”に価値を見出だす人々だけが放つオーラを感じられた。
日本人は山を神が座する場所とする世界でも珍しい山岳信仰の文化があり、登頂への挑戦に目的は要らないのかも知れない。なんと14座全てを登って生きて戻る連続生存率は僅か20%しかないのだ!
第3キャンプから山頂まではカメラが同行せず、ピークへのアタックはベースキャンプからの超望遠カメラ映像だけだが、雪上の黒点や夜の光点になった竹内氏を観ていて、人の志と科学の合わさったリアルな奇跡の光景に涙が溢れそうになった。
現代でも自然と人が剥き出しで対峙するしかない登山を楽しむには、リスクを軽視しない事が条件だ。
竹内氏の偉業とカメラマンの努力から生に教わる本当に素晴らしい映像だ。
良い商品です。
皆さんは竹内洋岳という登山家をご存じですか.私は彼の著「登山の哲学」(*)を読むまで知りませんでした.洋岳はヒロタカと読みます.太平洋のように広く,山岳のように高いという意味合いで,ヒロタカさんの祖父が名付けました.竹内さんは8000m超の高峰14座が連立するヒマラヤを酸素ボンベの助けなしで狙うという高所登山のプロフェッショナルです.超高所が目標ですから,同じ極地でも地球の南北両極には興味はないと自著に書いています.北極にはホッキョクグマが,南極には皇帝ペンギンがいますね.凄い寒さだけれど,酸素はたっぷりあるから動物たちは十分適応して皆ゴキゲンなのです.
このDVDは,彼が登り残している世界第7位の高峰ダウラギリ,標高8167mの登頂とその関連映像です.NHK の2人が最終キャンプ(C3)まで取材しました.登頂を果たした今,竹内さんは日本人初の14サミッターです,しかし,世界をみればその数20人を超しています.彼にしてみれば何を今更のサミッターですが.14サミッターを志して登山途中に落命した山田登さんたち日本の登山家がいます.竹内さんは彼ら日本人登山家たちの遺志を継ぎたかったのだと語りました.登山家はこのDVDで分かるように仲間意識が強いのです.竹内さん自身.ガッシャブルム登山中に雪崩に巻き込まれ,それを見ていた外国人登山家たちに掘り起こされ,一命を得ました.幸運にも脊髄損傷にもならずに済んだ.半身不随は不治です.車椅子では14サミッターなど,夢の話.本当にラッキーでした.この事故の1年後に脊柱をボルトで固定しながらガッシャブルムに再挑戦し,望みを叶えました.頂上で声を上げて泣いたその声は,助けてくれた仲間たちに捧げる感謝の声だったのです.
さて超高所登山です.積雪の急斜面にさしかかると,左右の手にした短いピッケルを斜面に差し込み,それを支えに片脚を斜面から抜きあげ,上に運んでスパイクシューズを打ち込む.次いで残る片足を抜きあげ,上に運んでスパイクシューズを打ち込む.このように一歩一歩,抜き足,差し足を繰り返して少しずつ,確実に,ゆっくりしたペースで高度を上げていく.苦行そのものです.何故,こんなにまでして人は高所に臨むのか.私ごとき軟弱人間は想像もできない難行です.しかし,竹内さんら高所登山のスペッシャリストは別人です.そこにいて,そうやっていること自体が目的のようです.苦行そのものが楽しみなのだということがこのDVDで分かりました.故山田登は登山中に後ろを指さして,ダウラギリがあるよ,二度登ったよ.前にはマナスル,みんな登ったよ,と喜色満面に語っています.この喜びは何度も高所登山を続けることによって「痛切に分かる」のだと,竹内さんは云いました.吾らには分からない,彼と彼の仲間たちだけが分かる「痛切な喜び」なのです.高所登山は繰り返すごとに喜びが増す.また行きたくなる.そうだとすれば,麻薬のようなものかも知れません.一度登れば,また登りたくなるのです.
酸素ボンベの有無で登山がどう違うか,鮮明に分かるシーンがあります.パートナーをC1に残した竹内さんはC3を独りで出発し,雪の斜面をゆっくり頂上に向かいます.その姿をキャンプから望遠レンズで捉えた映像があります.豆粒ほどの竹内さんに急速度で接近し,追い越し,そのまま登ってく登山家2人が映っています.この場面を「登山の哲学」で竹内さんは次のように書いています.映像では分からない竹内さん自身の心理描写です.引用を念頭にこのシーンを見ると,見方が違ってきますので紹介します.
少ない酸素の中で喘ぎながら歩いている私の横を女性クライマーが追い抜いていきます.ベースキャンプで顔を合わせていた,クレオというアメリカ人とシェルパの2人.ズンズン登っていく彼女たちは酸素ボンベを使っている.でも,目障りだとは思いませんでした.ラッセルしながらのペースでは,頂上にたどり着けない可能性が高かった.追い越していったクレオたちは,結果的にラッセルを代わってくれたことになったのです.
登山は登頂が目的ではない.登頂して無事にベースキャンプに戻ってくるのが目的です.それは空気ボンベを背負わずに深みに潜る素潜り似ています.深みに到達していても浮上する余力がなければ死亡する.高所登山も同じこと.竹内さんは,パートナーなしに独りでダウラギリ登頂しましたが,既に日没を迎え,下山口を見つけられず山頂近くで着の身,着のままビバークしました.翌日,未明のうちにヘッドライトを灯して下山し始めた彼はやがてルートを見つけC3に着きます.非常に疲れていましたが,休むより高度を下げた方が楽になるので,そのまま下山していきます.C3 で待っていたNHKの取材班に登頂したことだけを告げただけ— .出迎えに登ってきたパートナーは下山してくる竹内さんを遙か下方から発見し.両者合いより再会を祝います.見ていて胸の熱くなるシーンです.竹内さんは相手の肩を叩き「また次だね」と云いました.超高所での苦行難行は脳内のモルヒネ様快感物質の分泌を高める.そうでなければ,また次だね,とは言えません.高所登山は麻薬です.その快感を知ればもう止められないのです.
長くなりました.もう終わりにしますが,高所でみる夜空に私は圧倒されました.竹内さんが山頂近くで日没を迎えるシーンです.満点の星.星雲は文字通りに星雲です.天の川は天の瀑布!その星たちが歩調を合わせてダウラギリの向こうに落下し,次々に姿を隠していく.地球は刻一刻も休まず自転しているのだ.大地は回る.映像を見ている私も回っている.私は宇宙のダイナミズムのその一瞬をしっかり見たのです.
このDVD は「登山の哲学」の読者に勧めます.「登山の哲学」とDVD は相補完するからです.山に無関心な大勢の人たちにも勧めます.自分と異次元の人間を知る,それは益なきことではないのだから.
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クレイジージャーニーを見て購入しました値段も安くて気にいっています
「800m全山登頂」は竹内洋岳さんの、山に対する基本的な考え方というものが伝わってきて、とても感銘を受けました。私も10年後キリマンジャロに登りたいと思っていますので、ひたすらトレーニングに励みたいと思っています。
命がけで登っているからそれどころではないと思いますが、敢えて勝手を言わせてもらえるなら、出来れば荷揚げ状況、ビバーク中の様子、山頂での写真や映像をもっと観たい。
でも、十分雰囲気は伝わりました。