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偶然と想像 [Blu-ray]

偶然と想像 [Blu-ray]詳細

偶然と想像 [Blu-ray]

#69

”Wheel of Fortune and Fantasy” English subtitles available. Silver Bear Grand Jury Prize of the 71th Berlinale. Director HAMAGUCHI Ryusuke’s first anthology film of three episodes 世界は偶然に溢れている── 本作で第71回ベルリン国際映画祭・銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞したのに続き、『ドライブ・マイ・カー』で第74回カンヌ映画祭で脚本賞など四冠・米アカデミー賞で国際長編映画賞に輝くなど、今や世界が最も注目する監督のひとりとなった濱口竜介。彼にとって初の「短編集」であり、ミニシアターを中心にヒットを記録した『偶然と想像』がついにBlu-rayディスクとして登場! 人生を静かに、大きく揺り動かす「偶然」。親友同士の他愛ない恋バナ、大学教授に教えを乞う生徒、二十年ぶりに再会した女友達・・・。軽快な物語の始まり、日常の対話から一転、鳥肌が立つような緊張感とともに引き出される人間の本性、鮮やかに切り取られる人生の一瞬に、観る者は日本映画の新時代を感じずにはいられない。 古川琴音、中島歩、森郁月、甲斐翔真らフレッシュな顔ぶれと、濱口組出演経験のある玄理、渋川清彦、占部房子、河井青葉ら個性豊かな俳優陣が好演した本作。その出演俳優による撮影現場を振り返るインタビュー『濱口竜介と俳優たち “創作”の場をつくるために』(47分)も収録の豪華盤。 監督・脚本:濱口竜介 出演:古川琴音 中島歩 玄理 渋川清彦 森郁月 甲斐翔真 占部房子 河井青葉 プロデューサー:高田聡 撮影:飯岡幸子 整音:鈴木昭彦 助監督:高野徹 深田隆之 制作:大美賀均 カラリスト:田巻源太 録音:城野直樹 黄永昌 美術:布部雅人 徐賢先 スタイリスト:碓井章訓 メイク:須見有樹子 エグゼクティブプロデューサー:原田将 徳山勝巳 製作:NEOPA fictive 配給:Incline 配給協力:コピアポア・フィルム 宣伝:FINOR メゾン 2021年/121分/日本/カラー/1.85:1/5.1ch PG12 (c)2021 NEOPA / fictive 【映像特典】 ◆『濱口竜介と俳優たち “創作”の場をつくるために』(出演者インタビュー ):47分 ◆予告編映像:国内・海外版計3分 【外装・封入特典】 ◆スリーブケース/特製ブックレット

偶然と想像 [Blu-ray]口コミ

映画自体が素晴らしくて大好きです。主な出演者のインタビューも良かったです。

2022年のマイ・ベスト。
監督も脚本家も俳優陣もとてもいい仕事をした。3話オムニバスだが、どれも力強い吸引力に満ちていて引き込まれる。予測不能のストーリ、ダイアローグそのものの面白さ、魅力満載のキャスト。二度観れる。三度だって観れる。しばらくたってからきっとまた観る。

深い哲学的テーマを掘りさげるストーリーの奥深さが面白かった

私はこの映画、観終わってから11ヶ月が経過しているのに、まだ余韻が残っています。特に第3話に魅かれました。占部房子さんと河井青葉さんが赤の他人であるにもかかわらず心の交流をするシーンを観て、目に涙が溢れてきました。残りの4話、非常に楽しみにしています。素晴らしい映画を製作された監督そして俳優のみなさん、そして関係者もみなさまに深く感謝いたします。ありがとうございました。

普通、偶然という言葉が想像と結びつきません。
そこに濱口竜介監督の異色な個性と感受性をみました。
私は特に第2話の「扉は開けたままで」に惹かれました。
中年の大学教授・瀬川(渋川清彦)の存在が際立っている。
この性格なんとかならんのか?
学生に単位を与えず留年させる・・・
私の尺度では、こういう人の《妥協を許さない頑迷さ》は、
許し難い。
すごく損する性格だと思う。
「居るだけで嫌われる存在」と瀬川も分かっているのに、
自分の心をコントロール出来ない。
(寛容になろうとしない?)
瀬川に単位を落とされた佐々木は、
ハニートラップをセフレの菜緒(森郁月)に頼む。
瀬川の教授室を訪れて芥川賞受賞作にサインを頼み、
質問と称して作品の
特にエロティックな文章を読み上げる。
菜緒が教授室の扉を閉める。
緊張した表情の瀬川が、扉を開ける。
人との関係は閉ざしているのに、世間体の扉は開けておく。
それが瀬川のせこい処世術だったのかも知れない。
兎も角、この脚本の瀬川教授の造形は、一度だって日本映画に
こんなこじらせキャラの人間は現れただろうか?
濱口竜介監督の脚本の特異性と文学性に驚くとともに、
心理学的分析にも舌を巻く。
第2話が強烈過ぎる。
《人間関係を築けない瀬川の孤立が際立った》
そして5年後になり、佐々木と菜緒は電車で再会する。
その後の展開も気になる・・・秀逸なラストである。

第1話
魔法(よりもっと不確か)
この話しは、男と女は理解しあえない存在だと示唆しているように思えた。
分かり合えた・・・と思うのは、いっときの錯覚で、
愛するとは、魔法よりも不確か・・・
愛してる・・・そういう錯覚を信じている人は何度でも、
失敗る(しくじる)だろう、と思う。

第3話
このお話は、まったく1、2話と真逆。
人と人は分かり合える・・・
信じるに足るモノであると示してくれる。
勘違いで出逢った、まったく見ず知らずの中年女性2人が、
高校時代の友達との交流を懐かしみ、
家族より本音を話せる親友になる話し。
それにしても仙台駅の上りエスカレーターと下りエスカレーターの
演出には思わず笑った。
この3話は、実に説得力がある。 
(インターネットが遮断した・・みたいな設定はあまり効果を感じなかった)

1、2話の登場人物より信頼できるのは何故だろう?
ちゃんと生活している大人は、人間としてホンモノなのか?
それとも分かり合える人とは、分かり合える。
分かり合えない人とは、
決して分かり合えない事なのか。

「偶然と想像」
この相性の悪そうな言葉から、かくも想像的な映画を生む
濱口竜介監督の手腕に、唸らせられました。

『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介による3つのオムニバス。 主に二人による会話劇。確かにどの話も偶然と想像がテーマになってる気がする。 『寝ても覚めても』や『ドライブ・マイ・カー』は会話を退屈せずに見ていられたのに、もっと短いこの映画の会話は耐えられなかった。もちろん意図してやってるのだろうけど、あの演劇っぽい喋り方がどうも合わない。

三篇の不思議で密な品のある短編集です。
上手く言語化出来難い作品ですが…

どの作品も良いお話で人間の希望や可能性を
可視化しているような、鍵と鍵穴が偶然にマッチした寓話です。

■共通点
新鮮、会話劇が特徴、大変自由、言葉の自動書記的な、
人生で一度あるかないかのダイアローグ、会話の生成変化
日常会話からの深化した非日常空間の会話、噛みしめるような、
映画内映画、女性主導の会話、会話劇による解放感、代替案、
コトバのチカラ、我ー汝の信頼がある、マジカル、後味が良い、
会話のケミストリー、濃厚でリッチな会話体験。

よく分かっていませんが、特別インタビューもあり
俳優論みたいなものにも開かれています。楽しそうです。

改悪になるかもしれませんが、個人的な感性では
オザケンの『運命、というかUFOに(ドゥイ、ドゥイ)』とか、
最果タヒさんの詩が妙にマッチして脳内リフレインが続いてしまいます。

また一見、関係無いオートポイエーシス理論を謳っている書『生命の樹』の
終盤の人間観にも依拠しているような作品で、共に言語で創造していく
喜びや愛に似た何かも感じさせてくれました。まるで2匹のチョウが同期
しながら、たわむれるのに似た何かです。

逆にこのような偶然で奇跡的体験を経れるような対人関係に開かれた
円満な人格者である強い個人でなければ、友達も恋愛も結婚も望めないと
感じさせてくれます。いつの時代も、そうかもしれませんが、無名に近い
凡庸なキャラクターを投入することによりコミュ力強者の時代の幕開け、
時代柄を一層浮かび上がらせている気もします。何が原因でこのような
令和の時代、コミュ力の時代になったのか迄は解りかねますが…。
そうではない場合は、バーチャルやSNS,メディアを介した関係性に
成らざる負えないのは確かだとは思います。

自己開示にも繋がる『偶然と想像』の登場人物の対話はかなり健全に感じる一方、
『ドライブ・マイ・カー』における妻に先立たれた多くを語らない
家福の傷ついた自閉的な男性性と比較してみても興味深いです。
寡黙な男性の徐々に雪解けするインテリ男の悲哀といったら無いです。
こじつけですが、タルコフスキーの『アンドレイ・ルブリョフ』を思い出します。

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